元国立大学法人職員の通訳・翻訳道!

約8年国立大学法人で事務職員として勤務した後に、英語通訳・翻訳者にキャリアチェンジしました。日々、修行中・・・。お仕事のこと、日々の勉強、翻訳など不定期に更新しています。Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.

メール1通のCO2排出量とは-最新テクノロジーによる環境への高いコスト

AFPの記事を全文翻訳しています。

 

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IT(情報技術)は世界の環境問題の解決策として語られることが多いが、それ自体が環境問題の一因である。IT業界トップに対し、エネルギーおよび資源集約型の事業のあり方を見直すよう求める圧力が高まりつつある。

 

たとえば、1メガバイトの電子メール1通を送るのにどれほどのエネルギーが必要だろうか。フランスの国立科学研究センター(CNRS)によれば、約25ワット時で二酸化炭素の排出量にすると20グラムである。

 

大したことではないように思われるかもしれないが、ラディカーティ研究グループは、今年送られる電子メールの数は1日あたり2,930億通と推計しており、必要な電力はその大半が化石燃料から生み出される。

 

アプリはすぐに携帯電話のバッテリーを消耗させ、寿命を縮める。スナップチャットは自動的にカメラを起動させるため、特に「重い」メッセージサービスである。

 

それに加え、世界中で膨大な量のデータを処理するサーバファームがある。大量のサーバを設置するこの施設では、サーバ運営と機器の過度な発熱を防ぐエアコンにも莫大な電力を必要とする。

 

「現在の世界的なエネルギー構成比では、情報通信技術が温室効果ガスの排出に占める割合は2013年の2.5パーセントから2020年には4パーセントに増加するであろう」と、フランスのシンクタンク、シフト・プロジェクトが最近発表した報告書で言及している。

 

つまり、IT部門の排出量は民間の航空産業(2018年は2パーセントの排出比率)を上回り、自動車産業(8パーセント)に迫る勢いであるということだ。

 

 

「甚大な影響」

 

2月に、(環境保護団体)グリーンピースがデータセンターの集中について警告した。特に、米国バージニア州内のアマゾン社が使用するデータセンターは、世界のインターネット通信の70パーセントを伝送しているという。

 

大量のエネルギー需要に対応するため、現地の電力会社であるドミニオンは再生できない燃料資源に頼ったことからIT企業から不満の声が出ていた。

 

多くのIT企業が風力発電所などによる「クリーン」なエネルギーを可能な限り使用すると確約しており、フェイスブックは数年前からグリーンピースと提携している。

 

「IT部門が気候変動の取り組みに役立つという考え方は以前からあり、この10年話題になっていましたが今必要なのは行動を起こすことです」とグリーンピースのIT運動家、ゲイリー・クック氏は語る。

 

「IT企業は急成長しており、IT企業がどの電力源を使うかというのは非常に重大な問題なのです」とクック氏は述べた。

 

また、動画やストリーミングサービスの急増により、ある問題が起こっている。グリーンピースは2017年、27億回を上回って視聴され大流行したKポップの「江南スタイル」の動画で小規模な発電所の1年分の発電量に相当する電力が消費されたと推計した。

 

動画、音楽サービス

 

米国のネットワーク分析・サービス団体であるサンドバインが10月に発表した報告書によると、動画ストリーミングは現在、サーバから各デバイスへの「下り」通信量の60パーセント近くを占めており、Netflixだけで15パーセントを占めている。

 

音楽サービスも大きな影響をもたらしている。2000年、グラスゴー大学オスロ大学の研究者により、米国の音楽産業のみで1億5,700万キロの温室効果ガスを同年に排出していたことが判明した。

 

そして、2016年までにCDとCDケースに使われるプラスチックが激減したものの、インターネット上の音楽ファイルストレージ・共有により米国で2億~3.5億キロの温室効果ガスが排出された。

 

リサイクルの費用

 

IT企業のトップは、環境への負荷を軽減すべく行動を起こしていると言う。

 

フランス、イタリア、ルクセンブルクでデータセンターのDATA4を運営するキャロル・マルシャル氏によると、利用者は自らのエネルギーと水の使用量に加え、温室効果ガスの排出比率について情報をリアルタイムに得ることができるそうだ。

 

「ただしこれは、エネルギー消費に限ったことではありません」とマルシャル氏は述べ、デジタルインフラを世界中に構築するために必要なエネルギーや資源、そしてリサイクルについても言及した。

 

バーゼルアクションネットワークの推計によると、欧州連合は毎年35万トン相当の電子、電気廃棄物(洗濯機などの電化製品も含む)を発展途上国に輸出している。

 

環境保護活動家らはこの慣行を非難しており、最終的に現地の環境を汚染する有害残留物で貧しい国を苦しめると主張している。

 

最新の携帯電話やその他デバイスに使われるレアアース金属の採鉱をめぐる競争により、森林伐採水質汚染が引き起こされることが多く、特にアフリカ、アジアでは環境面の脅威にもなっている。

 

シフト・プロジェクトもデバイスのさらなる小型化・高性能化を推進することでリサイクル費用がさらにかさむと述べ、「機能の組み立てが複雑なため、金属を分別するのに必要なエネルギーが増加する」と警告した。