元国立大学法人職員の通訳・翻訳道!

約8年国立大学法人で事務職員として勤務した後に、英語通訳・翻訳者にキャリアチェンジしました。日々、修行中・・・。お仕事のこと、日々の勉強、翻訳など不定期に更新しています。Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.

水素自動車とは?– 燃料電池技術(1)

TWIというイギリスを拠点とする技術コンサルティング企業による記事の翻訳。

長いので、いくつかにわけて翻訳したいと思います。

化学の基礎知識がないと、これだけ読んでもはぁ?ってなるかもしれません・・・(実証済み)。

燃料電池の基本について略図などで説明した各種サイトなどと合わせて見ると分かりやすいかと思います。

 

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水素自動車の登場

水素自動車は水素燃料を動力源として活用している。水素燃料はロケットやその他の輸送手段にも応用できるように研究されているが、将来的にこの技術は自動車への影響が最も大きいと考えられる。

 

水素の化学エネルギーは、特別に開発された燃料電池内で起こる水素と酸素との酸化還元(レドックス*)反応を通じて力学エネルギーに変換される。

*レドックス:英語でRedox。還元(reduction)と酸化(oxidation)の混成語。

 

水素製造

水素は、化石燃料のように貯留層や天然鉱床から採掘できないため、天然ガスバイオマスから製造するか水から電気分解する必要がある。水素動力のメリットの1つは、温室効果ガス排出を削減できることである。特に、再生可能電力を使用し水を水素に変換して水素ガスを製造する場合に削減効果がある。

 

天然ガスといった化石燃料から水素を製造することができるが、温室効果ガスを排出するため環境面のメリットがなくなるか減ってしまう。そのため、地熱電力が水素製造に使用されるアイスランドや、風力が使用されるデンマークのように再生可能エネルギー源が解決策となるであろう。

 

水素燃料電池の仕組み

水素燃料電池は、水素ガス(H2)と酸素(O2)を使用するプロトン交換膜(PEM)で化学ポテンシャルエネルギーを電気エネルギーに変換する。ただし、酸素は大気から容易に利用できるため、燃料電池は車両を動かすのに必要な水素のみを供給すればよい。

 

水素燃料電池は負に帯電したカソード(訳注:燃料極)と正に帯電したアノード(訳注:空気極)で構成されており、電解質接触している。この電解質が素材に特殊な処理を施したプロトン交換膜(PEM)である。水素ガスが燃料電池のアノード側に入り、圧力により触媒を通る。PEMは正に帯電したイオンのみを運び、電子は通過させない。アノードは、水素分子から放たれた電子を外部回路で運ぶ。この電子がモーターや電球などを駆動するための電力を供給する。

 

一方、酸素はカソード側から触媒を通り、そこで原子の負電荷が外部回路を通過した水素原子を引き寄せ、水素イオンと酸素が再結合して水を生じる。

 

以下の水素燃料電池の反応式はこの過程を表している。

 

O2 + 4H+ + 4e → 2H2O

2H2 → 4H+ + 4e

2H2 + O2 → 2H2O (最終的な反応)

 

水素燃料電池には多様な形態があり、触媒にはさまざまな材料が使用されるが主に使用されるのは白金ナノ粒子である。ナノ粒子はPEMに面しており、触媒は水素や酸素に触れる表面積が最大になるように起伏に富み多くの小さな穴がある。

 

この燃料電池を集めてスタックにする。スタックは、燃料、水、空気の管理や冷却液を制御するハードウェアとソフトウェアが入ったユニットに組み込まれている。