元国立大学法人職員の通訳・翻訳道!

約8年国立大学法人で事務職員として勤務した後に、英語通訳・翻訳者にキャリアチェンジしました。日々、修行中・・・。お仕事のこと、日々の勉強、翻訳など不定期に更新しています。Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever.

『駆け出しのころ』に執筆させていただきました

子どもの園もついに登園自粛となりました(実質閉園な感じです)。。。

生まれてこの方夜型人間でしたが、ついに朝型にシフトしてできる限り仕事や勉強をしています。

なかなかうまくはいきませんが、宵っ張りだった子どもも少し早く寝るようになったのでそれはそれでよかったです。

全国の親御さん、長丁場になりそうですががんばりましょう♪

 

現在、通訳者たちがデビューしたての頃を振り返るエッセイ『駆け出しのころ』が日々Noteで発表されています。

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毎回楽しみにして拝見していますが、輝かしい実績を誇る先輩方も、新人の頃はいろんな思いを抱えながらがんばって来られたんだなぁと勇気づけられます。

 

新人の頃は、もしかしたら通訳者同士にそれほど差はないのかもしれません。

ただ、そこから活躍される方と徐々にフェードアウトする方に分かれていくのだろうと思います。

活躍されている先輩方の軌跡をたどることで、何が分水嶺となるのかヒントが得られるかもしれません。

通訳に興味のある方はぜひご覧ください。

 

 

駆け出しまっただ中の私も、図々しく執筆させていただきました。

ていうか、振り返るべき『駆け出しのころ』がない時点で企画の趣旨に合わない気もしますが・・・。

 

どちらかというと、「こういう風にはなってはいけない」見本のオンパレードな気がしますが、もし良ければご笑覧ください。

 

コンビニ弁当の中身を詰める仕事で卵焼きの向きを間違えて入れてしまい、おばちゃん達にめちゃくちゃ怒られたことや、電話で保険セールスをしたもののほとんど売れなかったことも今となってはいい思い出です。。。

 

未だに、もっと若いときにちゃんと働いて通訳・翻訳に役立つ英語力や専門知識を身につけておけばという後悔がないわけではありませんが(というかめちゃくちゃある)、考えても仕方がないので老いにも負けず、コロナにも負けず(重要)、日々ベストを尽くしたいと思います。

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公開処刑!

先日から日本会議通訳者協会(JACI)のZoomによるオンラインセミナーについて連投していますが、今回もJACIセミナーネタです。

 

少し前の話ですが、芸能通訳者としてご活躍されている今井美穂子さんがJACIオンラインセミナーに登壇されました。

ハリウッドスターとかの通訳をする、あのかっこいいやつです。

自分に最も縁のなさそうな世界ですが、きゃー芸能人!スター!ブラピのサイン抽選会とかないかしらとミーハーな興味でふんわりと参加しました。

 

ところが参加してみると、通訳を実際にやって今井さんにご指導いただくワークショップがあるとのこと。

これ以上にないありがたい機会ですが、オンラインとはいえ何十人もいる参加者の前でやるとか無理すぎる。

うん、こっそり見学しよう。と思っていました。

 

が、始まってみると結局私は手を上げてしまうのです。

いますよね、出来もしないのにホイホイ手を上げて盛大に間違えるおめでたい感じの人。

私はどうやらそのタイプのようです。

 

このときのお題は、ディーン・フジオカ主演映画の記者会見の通訳です。

一番に当てられ、必死でなんとかひねりだしますが、完璧にはほど遠く文法の基本事項をご指摘いただく始末。

こんな大先輩の前で恥ずかしい・・・。

しかも、他に訳された方々があまりにも上手すぎて緊張はピークに達します。

 

そんな豆腐メンタル状態の時に再度当てられました。

「撮影(shoot)した」という単語があったので、思わずshootedと言ってしまい、会場に気まずい雰囲気が流れます。

 

今井さんがなるべく傷つけないように、優しく「shootの過去形は、shootedじゃなくてshotね」と教えてくださりました。

 

・・・Shoot me NOW!

 

と思いましたが、覆水盆に返らず。

盛大に参加者の前で恥をかき、かくして私の公開処刑は幕を閉じたのでした。

 

今思い出しても恥ずかしくて死にそうですが、やはり第一線の通訳者さんから直接ご指導いただくことなどそうそうあることではないので、非常に勉強になりました。

現場で使われる単語や今井さんの美しい訳例も拝聴し、いつかこんな訳ができるようになるといいなぁ~と心から思いました。

 

まぁ、ここまで恥ずかしい思いをしなくてもよかったなぁと思わなくもないですが、実際にやったからこそ強烈に学んだこともあるのではないかと思います。

というか、そう思わないと涙が出そうです。

No pain, no gainと信じて、負けずにがんばろうと思います。

 

ちなみに、今井さんはディーン・フジオカと会うときはいつも英語で会話されるそうです。

かっこよすぎる。

何より、おディーン様と至近距離でお話できるなんてめちゃくちゃうらやましいです!

JACIセミナーでの学び

前回の記事でも書きましたが、日本会議通訳者協会(JACI)では現在Zoomを使った遠隔講義を精力的に開催されています。 

 

通訳界の第一線で活躍されている諸先輩方の豪華セミナーなので、少し無理してでもできる限り参加するようにしています。

 

今日は、通訳者の営業とブランディング構築を考えるセミナーでした。

その中で、「正確性は差別化できない」というお話がありました。

お客様からしたら、92点と95点の訳の違いは分からない、ということです。

そりゃそうですよね。正確に分かるなら通訳は要らないと思います(汗)

 

通訳者が2人いて、お客様的にどちらも同じくらいうまい、と思われても、次に自分が呼ばれるとは限りません。

私自身、スピーカーにもお客様にもお褒めいただいたけれど、その後お呼びがかからない、という苦い経験をしたこともあります。

 

私もそうですが、通訳者・翻訳者はひたすら「訳質の高さ」にこだわりがちです。

もちろん、提供するサービスは「訳」なので当然ですが、その渾身の訳は果たしてお客様が望んでいるものなのか、独りよがりの訳になっていないか、訳は良くても他の面(依頼に対する返事の早さ、現場での態度など)で嫌な思いをさせていないか、または影が薄くて忘れられていないか、振り返って考えないとなぁと思いました。

 

翻訳も通訳もいわゆる「レッドオーシャン」つまり供給過多、やりたい人が需要を大幅に上回っていて競争がめちゃくちゃ激しい業界です。

その中で、お客様に自分の存在を覚えてもらうのは本当に難しいと日々感じています。

単によい訳ができるだけではだめで、○○だったらこの人、と覚えてもらえるような「売り」は必須で、実際に活躍されている通訳者さんはその努力を怠らないんだなぁとしみじみ思いました。

 

活躍されている通訳者は、スキルが高いだけではなく「サービス業」としての通訳という視点をお持ちだと一連のセミナーで感じました。

活躍する通訳者=高いスキル+αといった感じでしょうか。

 

自分は、何も考えずに口を開けて仕事が来るのを待っていたなぁと猛省しています(汗)

なんというか、「努力すれば、きっと誰か見ていてくれる」といった日本人的な「待ち」の思考停止に陥っていたと実感しました。

 

もっと能動的に行動しないとなぁ、と思う今日この頃です。

 

 

 

 

 

災い転じて・・・

コロナウィルスの影響で、通訳業界はかなりの仕事減となっています。

翻訳は、むしろ仕事が増えているというような話も聞きますが、私の場合はイベントレポートの翻訳なども担当させていただいていたので、コロナによるイベント中止の影響をもろに受けています・・・。

 

ただ、多くの通訳者がヒマになり、かつ外出がままならないこの状況を活用(!)し、日本会議通訳者協会(JACI)が3、4月に通訳者向けの遠隔イベントを多数企画しています。

 

非会員の参加費は各3,500円ですが、会員はなんと無料です!!

ちなみに、誰でも入れる正会員の年会費は5,000円です。

会員になると、諸先輩方の通訳に関する会員限定コラムを閲覧でき、各種イベントにも無料または割引料金で参加できるほか、会員用Facebookにも参加できるので、疑問に思ったことがあれば気軽に質問することも可能です。

もう、入らない理由がないんじゃないかというくらいお得な組織だと思います。

(JACI入会案内)

www.japan-interpreters.org

 

(3月のイベント)

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何よりも、仕事がない時期だからこそできることを模索するという姿勢が素晴らしいなと思います。

地方在住だと、東京で開催されるワークショップなどにも参加しづらかったのですが、オンラインで参加できるようになったのは本当にありがたいです。

今後もぜひ続けて欲しいなぁと個人的には思っています。

 

仕事が減った今こそ、ネットワーク作りや情報収集、勉強に励もうと心に誓いました・・・。

DMM英会話を始めて1か月経ちました

1月の終わりからDMM英会話を始めてから1か月が経ちました。

毎日25分のレッスンを受講できますが、講師が現れずキャンセルになってしまった1日を除き毎日受講できました。

これまでの学びを振り返りたいと思います。

 

(1)通信状況が悪いときこそチャンス

DMMの講師は、ネイティブプランでないといわゆる英語圏アメリカ、イギリス、オーストラリアなど)の先生は予約できません。

大部分の講師が、フィリピンやアフリカ、中央~東ヨーロッパ、カリブ海沿岸の出身の方で、場合によっては通信状況があまり良くないところもあります(特にアフリカ)。

 

ブツブツ通信が途絶えたり、遅延があったり、自分が話す声がハウリングしていたりと音声環境は決して良いとは言えません。

ただ、私にとってこれはメリットの一つだと感じています。

 

通訳をする際、毎回ベストな環境が用意されているわけではなく、ガヤガヤした中で相手の声を聞かなければならなかったり、立ち位置によってはかなり聞きづらいことも多くあります。

 

日々の英会話で通信が厳しい場合でも焦らず、イライラせず、相手の話を正確に理解して普段通りのスピーキングができるようにすることがよい練習になっていると実感しています。

 

先日、まさにガヤガヤした中での通訳をしたため、DMMの(時に)厳しい通信環境が生きたなぁと、変な満足感を感じていましたw

 

(2)よく知らない国・地域に興味が出る

私は、できる限りいろいろな国・地域の講師を予約するようにしています。

様々なアクセントに慣れ、またその国・地域の情報も得たいからです。

 

私がお願いした講師の中には、レソト南アフリカ内の飛び地)、モンテネグロ、バルバドスといった小国出身の方もいらっしゃいました。

せっかくなので、外務省の国情報を見てざっとその国について調べることで若干ですが理解が深まりました。

 

また、最近よくアフリカの講師にお願いしているからか、今まであまり関心のなかったアフリカについても興味が出てきました。

 

(3)講師のキャラが千差万別

また、講師のキャラクターも様々で、こちらに話をよく振ってくれる方もいれば、友達と話しているようなノリノリな感じの方、はたまた演説のように自説をとうとうと語り続ける方もいたりしますw

 

政治に関する質問で、私の回答が何かの琴線に触れてしまったのか、「君はその問題について何を知ってるんだ?え?」と議論というか詰問に近い展開になってしまったことも・・・w

 

あと、私は敢えてハードルを上げるために「通訳・翻訳をしています」と言うようにしているのですが、それを言うと、「あたしも通訳くらいはできるレベルだけど、あんたどんくらいできるのよ?」という雰囲気を醸し出す先生もごく稀にいらっしゃいます(個人の感想ですw)

 

どのタイプの講師でも、冷静に対応しつつ、会話を盛り上げられるように心がけています(難しいこともありますが)。

これも、スピーカーを選べない通訳の仕事ではメンタル面を鍛える上でよいのかなぁと思っています。

 

(4)今後の目標

毎回、Daily NewsやDiscussionという記事・文章を基にディスカッションをする授業をお願いしていましたが、特にDaily Newsは時事ネタを押さえるのに役立つので今後も続けたいと思います。

 

それ以外にも、自分でテーマを決めるフリートークもやってみようかなと思います。

まだまだ、言いたいことを母国語のようには言えていないなと思うので、少しずつレスポンス良く会話を進められるようになりたいです。

 

とにかく、1日1回の授業を継続できるようにがんばります!

関根マイクさん著『通訳というおしごと』今月発売!

同時通訳者の関根マイクさんによる新著が2月26日に発売開始です。

言わずもがなですが、関根マイクさんは数々の国際会議やノーベル賞受賞者・実業家などの著名人の通訳を担当されている業界トップクラスの方です。

 

前著の『同時通訳者のここだけの話』は、現場での珍事件や数々のピンチを切り抜けた技が惜しみなく(そして面白おかしく)披露された名作でしたが、ついに待望の第2弾が発売されます。

 

大学卒業後から独学で(!)フリーランスの通訳・翻訳者として活動の場を広げてこられたマイクさんの知見が詰まった一冊です。

 通訳業界の基礎知識からプロとしての心構えまで網羅されており、通訳に興味がある方にも通訳者として活動されている方にも役立つ内容が盛りだくさんです。

 

ほんの少しだけですが、私も編集をお手伝いさせていただきました。

毎回、原稿をいただく度にワクワクしながら一気に読ませていただいていました。

完成版はまだ読んでいないので、発売が楽しみで仕方ありません!!

 

組織で働いていた頃に比べ、フリーランスの今は良くも悪くも自分の仕事に「口出し」する人が大幅に減ったことに気付きました。

煩わしさがない反面、間違った方向に進んでいても正してくれる人はいません。

 

そんなフリーランスの「羅針盤」となるのは先人たちの知恵ではないでしょうか。

偉大な先輩方の経験から貪欲に学ぶことで、多くの教訓を得ることができます。

 

もちろん、直接お話を伺えれば嬉しいですがなかなか難しいのが現実。

しかし、書籍があれば貴重な情報や後進へのメッセージを効率的にそして安価に(←重要!)手に入れることができます。

 

発売は2月26日からですが、予約受付中とのことなのでどうぞお早めに!

 

 

通訳者のプレゼン術

先日、テレビを点けっぱなしにしていると、ジャパネットたかたの通販番組が突然始まりました。

 

あ、あの「下取り一万円!」の社長が喋ってる。

あれ?あの人だいぶ前に番組引退しなかったっけ?

 

と思いましたが、実際はジャパネットの番組ではなくNHKクローズアップ現代で、高田元社長が「プレゼンの極意」を語る特集でした。

https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4375/

 

思わず見ていると、通訳者にも役立つアドバイスが満載で、急いで録画してメモを取りました。

今日は通訳者にも役立ちそうな内容についてご紹介したいと思います。

 

(1)「伝えた」と「伝わった」は違う

高田元社長曰く、プレゼンでは「人を感じる心」が必要とのこと。

ただ自分の言いたいことを好きなように話すのではなく、そこにいるオーディエンスと「会話」をすることが大切らしいのです。

 

そのために、身振り手振りを加えながら伝えたい言葉を何度も繰り返します。

そして、観客に「そう思いません?」「~でしょう?」と呼びかけることでオーディエンスとの一体感を高める工夫をされていました。

 

通訳者は、スピーカーの考えをオーディエンスが理解する別の言語で代弁します。

スピーカーの言葉を単に「伝える」のではなく、その思いまで「伝わる」ように工夫してデリバリーしたいものです。

ジェスチャーは立ち位置によっては難しいかもしれませんが、観客に語りかけるというのはいろんな場面で使えそうです。

 

(2)アナウンサーは堅牢な水道管

 

これは、司会の武田真一アナの言葉です。

普段、武田アナはできる限りアナウンサーの存在に気付かれないくらいに情報を「真水」のまま視聴者に届けたいと思っているそうです。

 

「アナウンサー」を「通訳者」に変えると、すごくうなずけるなぁと思います。

スピーカーの言葉をねじ曲げることなく、自然にスピーカーの言葉をオーディエンスに届けるようにしたいものです。

 

(3)ここぞというときは「太字ゴシック体の声」を使う

普段は「堅牢な水道管」ですが、これは特に届けたい、振り向いてもらいたいと思うときは「太字ゴシック体の声」を使います。

例えば「Uターンラッシュで大渋滞です」という一文を強調したいときは、いつもよりも声を張り、

Uターンラッシュで、大・渋・滞、です

と、一つ一つの音を区切るようにして読むようにしているそうです。

 

また、高田元社長も、声の強さ・弱さ、高さ・低さで緩急を付けているとのこと。

そして、強調したいことの前後に、ほんの一瞬間を置くだけで売上が5倍も変わるとか。

 

これも、通訳に応用できる技術ですね。

まだまだここまでできていなかったなぁと反省しました。

 

(4)心の底から思っていることだけを口にする

では、何を強調すべきかは、どのような基準で決めるのでしょうか?

 

武田アナは、ニュース原稿を読む前に取材担当者や執筆者に何が重要かを確認した上で、その内容を自分の「腹に落とす」そうです。

現場で感じた熱量を自分が受け継ぎ、自分で考えて表現できるようにするためです。

こうしたプロセスを経て自分なりに心の底からその情報を理解した上でニュースを読み上げます。

 

たとえ用意された原稿であろうと、自分が腹落ちしたことだけしか話さない(=全てを理解した上で視聴者に届ける)という覚悟だと私は感じました。

武田アナは長年NHKの看板的な存在ですが、こういった努力が違いを生むのだなぁと思いました。

私も、武田アナのような覚悟で通訳に望みたいものです。

 

思わず見てしまった番組ですが、非常に勉強になりました。

精進したいと思います。