日本通訳フォーラム2019に参加・同時通訳しました(1)
先日の8月24日に、日本通訳フォーラム2019に参加しました。
スタートを飾る基調講演は、通訳業界で知らない人はいない、国際会議やNHKワールドニュースの同通で草分け的存在として活躍されている新崎隆子先生でした。
今回、不思議な縁で新崎先生の同時通訳をさせていただくことになり、これ以上にない貴重な経験をさせていただきました。
このようなすばらしい機会を与えていただいた日本会議通訳者協会様と通訳をご快諾いただいた新崎先生、本当にありがとうございました!
今回の経験では、いろいろな反省点があり今思うと赤面することがたくさんあります。
ただ、今回いただいた機会は自分の中にとどめておくだけでなく、いただいた者の責任としてなんというか、可能な限り同じような立場の学習者や同通ブースデビューを目指す方にも還元できればと考えています。
そこで、(恥を忍んで)自分の反省点やブースでのドタバタを少し紹介したいと思います。
【事前準備について】
(よかった点)
今回、準備としてパートナーの方と以下を行いました。
・新崎先生の著書を1チャプターずつまとめたものを録音し、同時通訳の練習をする
・講演資料を事前にいただけたので、スピーチ内容を予想して実際にスピーチを作って同通練習する
これは非常に役に立ったと思います。というのも、
・割と予想と実際の内容が一致するものが多く、本番で慌てることが少なかった
・独自の固有名詞は早めにご本人に確認できたので暗記する時間があった
からです。
また、スライド内に記載されていた関連論文をすべて入手し、ひととおり読んだこともよかったです。
これで、スライドだけでは分からない情報や言わんとすることも理解できたと思います。
しかし、反省点も多くあります。
(反省点)
・予想スピーチを覚えこむ方向に、つい意識が向きがちだった
もし本番で、予想とまったく違うことが出ていたら、柔軟に対応できず現場で冷や汗ものだったと思います。
また、今回はしっかり事前レクを新崎先生がしてくださったので事前に大方の内容を把握できましたが、現実としてそのような優しい現場はめったにないと思います。
【打ち合わせ】
(よかった点)
・新崎先生が、懇切丁寧に一枚一枚のスライドで話すことを説明してくださった
これは本当にありがたく助けられましたが、先生ご自身が通訳の経験があったからこそのご配慮で、これが当たり前だと思うと痛い目をみると思います・・・。
(反省点)
・打ち合わせに夢中で時間を忘れてしまい、担当の方に呼ばれるまでギリギリまで打ち合わせを続けてしまった
これは、今回一番の反省点です。
タイムキープできなかったのは完全に通訳の責任だと思います。あまりにも先生のお話がおもしろくて、立場を忘れて引き込まれてしまいました。
これで、通訳だけでなく新崎先生も焦らせてしまう結果となってしまいました。
タイムキープ以外にも、打ち合わせ全体を通じて新崎先生のリードに任せすぎたのも反省点です。
これは新人であることを考慮した新崎先生のご厚意ですが、プロとしてもっと通訳がタイムキープも含めて能動的に動かないといけない場面でした。
ギリギリに現場入りした結果、以下のような困ったことがありました。
・現場の下見をする時間がなくなり、入ってみて初めてスライドの見え方などの重要情報を知ることになった
・ブースの使い方も直前に教えてもらい、確認が十分できないまま本番入りして非常に危うい状況だった
・ブース内で慌てて資料や文具などを出すことで心の余裕が失われた
・打ち合わせで新たに判明した単語の定訳確認にギリギリまで追われ、きちんと心の準備ができなかった
はぁ~・・・今思い出すとため息がでますね。
長くなったので続きます。